蜜柑いろ

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「しんすけー!また掃除をサボったなー!」 ヅラが雑巾振り回して俺を探している、見つかってたまるか! 今は秋、周りの木がよく赤に染まっていておいしい時期なんだ 何がって蜜柑が 今のうちに脱け出して、採っていこう。ちょっとぐらい怒られてもいいや、熟したアレが一番好きなんだ…って先生が一番大好きだけど… あれは…? 縁側に座るその姿は銀色の髪の毛をした、ふわふわな奴 この前先生が連れてきた… 「ぎんとき?」 初めて俺に気付いたのか、ビクッと体を揺らす 「あ……えと……」 「しんすけ、だ」 「あ、しんすけ…何でここにいんの?」 「えっと…掃除しに」 「そうじ?」 「雑巾で、床を拭くんだ」 ぎんときは赤い瞳をしていて俺を見たから、嘘をべらべらと喋った 「へぇ」 興味なさげだったので疑われることもなかった    
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