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目が覚めた。
電気を点けたままの筈が今は真っ暗。
少し、いやかなり寒くなったこの部屋は吐き気をもよおす程の甘ったるい匂いが満ちている。
目線を這わせ電気のスイッチを探すが、見当たらない。
というか、俺の目が正しければこの部屋…
「暗いんじゃない、真っ黒なんだ…」
クローゼット、絨毯、カーテン、鏡台、ソファ、壁紙、ベッド。
全てが黒で統一されていた。
薄暗い部屋は、俺の部屋ではなく、ただっ広い黒の部屋。
「どこだよ…ここ」
窓もない扉の区別もつかないこの部屋は、恐怖の元。
自分が寝ているベッドのシーツも枕も何もかも黒黒黒黒…
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