嫉妬

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「悲しみに暮れているんじゃないですか?」 「そう思うなら、そう思っていればいいさ」 「違うの?」 「知りたいのかい?」 「知りたいから言ってるの」 「彼は君に怯えているよ。恨んでもいる」 「それだけ?」 「それだけ、ではないだろうが…」 「私の事を考えているのね…」 「負の感情しか向けていないけどね」 「いいえ。それで十分」 「質問、君は彼に殺されても文句はない?」 「何故私が彼に殺されるのよ?」 「恋人を殺されたら復讐に燃えても不思議ではないだろう」 「そうね。でも私を殺しても幸せにはなれないわ」 「君が彼女を殺しても幸せにはなれなかったようにね。でも殺す。幸せになれないとわかっていてもね」 「何故?」 「人間は理屈では動かない」 「そうかしら?」 「そうだと思うね。だいたいが感情とか言葉にならないモノで動くんじゃないかな。君のソレだって理屈に見せかけた感情的衝動だ」 「じゃあ彼は感情で私を殺すのね?自分の身を省みない大きな感情。私だけに向けられる本能的衝動。それって愛となんの違いがあるのかしら?うふふ…」 「嬉しいんだね」 「愛されるのは生きとし行けるモノ全てに共通する喜びよ」 「愛を理解できないモノもいるけどね。一部の限られた人間とか」
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