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「シュウ君、何描いてるの?」
「ひまわり!」
しんしんと降り積もる雪の日、お絵描きの時間。テーマは雪遊び。
子供たちは夢中になって、思い思いの雪遊びを、クレヨンで描いていく。
そんな中、一人の男の子の絵が、私の目にとまった。
雪だるまを作っている子供や、雪合戦をして遊ぶ子供たちが、楽しげに描かれている。
もはや完成といってもよいその絵に、その子はどういうわけか、夏の風物詩であるひまわりを、堂々と描き足していた。
「シュウ君、それ夏のお花だよ」
「うん知ってる」
迷いなくはしるクレヨンにしばらく見入っていると、その子が口を開いた。
「お母さんはね、ひまわりが大好きなの。一緒に雪遊びするのも好きなの。でも、お母さんはもういないから、だからひまわり描くの」
私ははっとする。
その子の母親は、二年前に病気で亡くなっていた。
力強く描かれていく、一輪のひまわり。
彼は、子供なりに母親の死を理解しようと悩み、そして今、自分なりの、一つの答えをだそうとしていた。
「できたっ!!」
そう言って、高くかざした一枚の絵。
そこには、燦々と咲く、冬のひまわりがあった。
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