矛盾している可愛い彼女

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俺ははにかんで、瑠琉香ちゃんの手を握る。 隣に彼女が居るだけで 俺は子供のようにはしゃいでしまうのだ。 --------… 「着いたーッ!」 小一時間ほど経った頃、俺と瑠琉香ちゃんは母校からとある居酒屋の前に来ていた。 居酒屋と言っても店内の様子はファミレスと変わらず、メニューも豊富だ。 二階には大人数でも入れる座敷があり、今日はそこで皆で集まる予定。 俺と瑠琉香ちゃんは店員に予約を入れた者だと断りを入れて階段を上がった。 お願いして普段より早い時間に空けて貰っているため、店内はまだ薄暗い。 「皆もう来てるかな~?」 俺は期待に胸を躍らせながら瑠琉香ちゃんに問い掛ける。 階段の手すりに捕まり、後ろを向くと 「最後だったりしてね。」 瑠琉香ちゃんは鏡を見て髪型を整えていた。 「瑠琉香ちゃん、階段上がりながらだと危ないよ……ッぅおえ!!!」 ―瞬間、俺は足を踏み外し手すりに捕まる腕を残して状態を崩した。 ガンッという鈍い音と共に前のめりになった俺の体は、言うまでもなく膝やおでこに赤い腫れを残している。 「…それはあんたでしょ。」 対する瑠琉香ちゃんは冷ややかな目線を俺に向けていた。 「…。」 い、痛い…。 瑠琉香ちゃんの視線もイタイ!! 「あ、あはッ!あははははー!!」 無論、完全なる棒読みで俺は笑って階段を勢いよく駆け上がり、座敷へと繋がる襖を開けた。 「皆こんばんはぁあ!!」 もう、とにかく恥ずかしい! 「………。…あら?」 綺麗に端から端まで開けた襖の向こうに広がる座敷からは返事が返ってこない。 それもそのはず 誰も居なかったからだ。 「あ、あれ?あれれ。」 寂しいというより虚しい。 とりあえず固まる俺をよそに後から来た瑠琉香ちゃんはさっさと座敷に入り座っていた。 「る、瑠琉香ちゃん?皆居ないよ!?」 「しょうがないじゃん、一番最初に来ちゃったんだし。」 あ、そうすか…。 どうやら一番最初に到着したのは俺達らしい。 …ていうか。 「早く襖閉めてよ。」 「…。」 「何ボケっと立ってんの。馬鹿なの?」 「…ごめん。」 あれ?この温度差何?
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