太陽と天女

沈む光

　空が藍の帳を落とし、太陽を東の地平線に追いやったが、太陽は必死に抵抗し、赤々と篝火のような激しい光で街を照らし出す。

存在を訴えるように強引に。

太陽に押し倒されて周りの雲は鴾色に侵食する。

その光景を少女は、ぼぅっと窓辺でみていた。

（ずっと、この生活が続けばいいの・・・。）

今の生活は何の変化もなく、心には、別段、差し障りになる感情も芽生えない。穏やかで安直だ。

それでいいと思う。

心の皆無は、私にとって、幸せなことだ。

少なくとも、感情の揺れ動きのある人生よりは。