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真朱、緋色から薄紅、桃色、萌葱色へとだんだん色を変える、 “それ”は厚みを感じないほどひらりひらり、と空気を舞い落ちる。
空気が“それ”を踊らす演出のように、ゆっくりとなだらかに舞い落ちる。そして、空高く浮遊した女が、舞踊の一つの型のように、何の抵抗もなく、“それ”を優雅に体を屈めて取ろうとしていた。
陽太は、眼を疑った。無論、重力に人間が勝てる訳はない。
実際は、陽太の横にある高い建物から若い女が、ショールを落とし、窓から危ういぐらい身を乗り出しているだけだ。
(でも、)
あり得ない、でも何故なんだ?
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