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ガタンっ
思わず椅子を蹴ってしまった。
「工藤蓮……な、なんか用?」
「寮の部屋のドアにあった貼り紙。あれどういうことだ?黒薔薇お断り?なんだよそれ」
蓮は教室に入って、教壇にもたれかかった。
「……あれ、破ったのあんたでしょう?なんで破るのよ」
「はっ。あんなのが隣の部屋のドアに貼ってあるなんて、恥ずかしいからな」
「なんですって?」
「……それより、緒方の言う通りだ。俺と契約を結んでないってことは、この学校に無断入学してるのと同じことだ。いい加減、あきらめて俺に血を吸われろ」
「はぁ?いきなりやってきて何?絶対いやだから!」
織音は教室を飛び出した。
――何なのアイツ……何様よ……
そのまま、織音は走っていった。
教室に残された工藤蓮は、気力が途切れたかのように、机に座る。
「会長、顔色が優れないですよ」
「分かってる」
「あんな言い方しないで、素直に言えばいいのに」
「……。言えるかそんなの」
「でも、もう何日も血を飲んでないようですね。さすがの成績優秀の会長でも、そこまで目が青色になるのですか」
「……、さすがにもう本当はキツイんだ」
「それを言えばいいじゃないですか、織音に」
「言えるか……それに、無理矢理吸うのは嫌だからな」
「……そうですか。まぁ二人の問題ですし」
李乃は小さくちぎったパンを口にひょいと入れる。
「じゃあ、俺は行く。予算案だけ、期日までに提出してくれよ」
「分かってます、会長」
工藤蓮は教室を後にした。
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