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コンコン……
「どうぞ、入ってー」
「失礼しまーす……」
理事長室に入ると、理事長とおぼしき人と、背の高い青年がこちらをむいてきた。
織音はペコッと頭を下げて、もう一度、失礼します といった。
そして、理事長の前、青年の隣に移動した。
「いやぁ……よく来たねぇ。私はこの紅花高校の理事長をしている、桃山正樹(モモヤママサキ)というんだ。……みんなはマサちゃんと呼んでるから、君もそう呼んでくれていいよ」
「誰が`マサちゃん´だ。いい年した人間が」
隣にいた青年が吐き捨てるようにいう。
その青年の身長は、身長の高い織音も見上げるほど高かった。織音の身長は170センチ。だが、青年は180センチを軽く越えているだろう。
今まで、自分の身長よりも背の高い男子は、周りに数えるほどしかいなかったので、織音は少しの間、その青年を見ていた。
その青年が視線に気づいたのか、織音の方へ目を向けた。
――うわっ……顔キレイだなぁ……
目鼻立ちがすっきりとし、人を惹き付けとりこにする容姿をしていた。
「何か?」
その顔とは裏腹に、口から出る言葉には刺がある。
「いや……別に……」
思わず目をそらして、理事長に向き直る。自分が自己紹介をしていなかったことに気づき、慌てて口を開いた。
「き、今日からお世話になります、佐倉織音です。よろしくお願いします」
「うん、よろしくね。佐倉ちゃん」
「さ、佐倉ちゃん……?!」
予想外の呼び名に驚きつつも、織音は先ほどから気になっていたことを尋ねることにした。
「……あの、理事長。この」
「`マサちゃん´、だよ」
「ま……マサちゃん、先生。この人は一体……?」
織音は隣にいる青年を指指した。
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