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「あ、この子?この子は、工藤蓮くん。紅花高校の生徒会長。そして君のパートナーだよ、佐倉ちゃん」
「パートナー?」
「うん。佐倉ちゃんは副会長だから、必然的に工藤くんのパートナーになるってわけ」
「……あの……?はっきり言って、意味分かりません。それに、転入してきてそうそう、副会長だなんて。まだ学校のことも分からないのに、仕事もできるか分かりませんし……」
織音は、困惑気味に聞いた。
「大丈夫。すぐ慣れるよ」
相変わらずの人懐っこい笑顔で理事長は答える。
「……選挙とかは、ないのですか?」
「うーん。昔あったけど、今はしてないかなぁ」
「……中学の時、生徒会長してたので、副会長することに、別に異論はないですけど……。そもそもなぜ私を副会長に?」
「あぁ。それは、工藤くんの指名だよ。彼の鎖となれる血を持つ家系はいくらでもいたんだけど、なかなか工藤くんが決めてくれなくてね」
「……?」
――鎖?血?
「生徒会長のパートナーが、副会長、になるって代々決まっているんだ」
織音には何が何だか分からなくなっていた。だが、これがこの学校の仕組みなのだろう、と、血の家系やら鎖やらのことは軽く流すことにした。
「冷たいこと言うけど、パートナーになることを誓ってくれない限り、この学校には編入出来ないんだ」
それは困った!と、織音の背中を冷や汗が伝った。
――学費免除。エアコン完備に、食事、風呂つきの寮。寝る場所にも食べ物にも、学費にも困らず過ごせるのはここだけ……。この学校を逃せば、もう行くあてないわよ!織音!
織音は自分に向かってこう言った。
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