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固まっている私の手を握りながら、高木はその事について話してくれた。
高木のお母さんと私のお母さんは友達だった。
高木の家に遊びに行っていて、公園で遊んでいた時、道路に飛び出した私を庇って事故にあった。
意識が戻った時、私を守れて良かったと笑っていたらしい。
守ってあげたかったから、私を責めないでほしいって。
けど、結局亡くなってしまった。
それから毎年、両方の家族が集まり、お墓参りをしていたんだって。
「父さんが実家の店を継ぐ事になって、ここを離れる事なって、お墓もそっちに移したんだ。
だから、集まる事もなくなった。」
高木の話しを聞きながら、風で揺れる向日葵を見る事しか出来なかった。
「びっくりしたよね…
けど、母さんが命がけで守ってくれたんだから、笑っててほしいんだよね。
昔みたいに。」
高木の視線を感じるが、前を見たまま、無言でいた。
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