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「行ってきます!」
私は出来る限り元気な声をかけてから家を出た。
「行ってらっしゃい、亜莉子ちゃん」
振り返ると玄関先まで見送りに来たエプロン姿の武村さんが、微笑みながら手を振ってくれる。
…あんな事件があったにも関わらず、前と変わらずよくしてくれる武村さんに感謝の意味も込めて、私は笑顔で手を振り返した。
優しくて、私の事をすごく気遣って大事にしてくれる、私の新しいお父さん。
まだお父さんと呼んだことはないけれど、いつか心からお父さんと呼べるようになれたらいいと思う。
お母さんもきっと、そうなることを望んでいただろうから。
…お母さん、
私は今、とても幸せよ…?
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