第一章 新しい生活

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「行ってきます!」 私は出来る限り元気な声をかけてから家を出た。 「行ってらっしゃい、亜莉子ちゃん」 振り返ると玄関先まで見送りに来たエプロン姿の武村さんが、微笑みながら手を振ってくれる。 …あんな事件があったにも関わらず、前と変わらずよくしてくれる武村さんに感謝の意味も込めて、私は笑顔で手を振り返した。 優しくて、私の事をすごく気遣って大事にしてくれる、私の新しいお父さん。 まだお父さんと呼んだことはないけれど、いつか心からお父さんと呼べるようになれたらいいと思う。 お母さんもきっと、そうなることを望んでいただろうから。 …お母さん、 私は今、とても幸せよ…?
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