第二章 白薔薇の城

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女王様はたちまち不機嫌そうな顔になり、 「あの忌ま忌ましい猫!」 と呟くと、私を解放して近くのソファにどかっと腰をおろした。 「女王陛下ともあろうお方が、はしたないですよ」 そう女王様に注意するビルの右腕が、肩から包帯で吊られていることに、私は今になって気付いた。 腕…どうしたんだろう? 私の視線に気付いたビルが、こちらを向いた。 しばらくじっと私を見つめた後、彼は(基本的に無表情なのでよくわかりにくかったけど)言いにくそうに口を開いた。 「アリス…今からのことは本当は貴女にはお話したくなかったのですが…」 「え?あ……、チェシャ猫の…こと?」 「………」 ビルは黙る事で私の問いを肯定した。 一気に嫌な予感が私の頭の中を駆け巡る。 砕け散るシロウサギが何度も脳裏に浮かんでは消えた。
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