第二章 白薔薇の城

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「アリス…。 ………猫が、歪みました」 ビルの言葉に、全身の力が一気に抜け、私はその場に崩れ落ちてしまった。 嫌な予感は当たってしまった――。 女王様が慌てて私に駆け寄る。 「アリス、しっかりなさい」 チェシャ猫が チェシャ猫が チェシャ猫が―――。 「歪んだ、と言っても完全にではありません」 言って、ビルが手を差し延べる。 ゆっくりと引き寄せ私を立たせた後、お座り下さい、とソファをすすめた。 「正確には歪みかけているのです」 「歪み…かけている…?」 「そう、今ならまだ間に合うかもしれません。アリス、シロウサギの二の舞を防げるのは貴女なのです」 シロウサギ……。 「私…今度はチェシャ猫を…歪ませて……!!」
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