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「アリス…落ち着いて」
隣に座った女王様が、そっと私の肩に触れた。
女王様の手がほんのり温かくなる。
「やめて!!」
女王様ははっとして私の肩から手を離した。
「女王様、私は大丈夫だから、もう歪みを吸い取ったりしないで…」
「アリス…」
「大丈夫。私はもう一人でも歪みを乗り越えられるわ。だからお願い、この国の住人にも伝えて。もう私の歪みを吸い取ったりしないでって」
「………。」
女王様は少しの間俯いた後、言った。
「…わたくし達のアリス、貴女が望むなら」
「…ありがとう、女王様」
そう言って微笑みかけると、女王様は潤んだ目でぎゅっと私にしがみついた。
「アリス……。でも、無理をしては駄目よ。わたくし達は貴女の為なら歪んだって構わない………」
「女王様、そんな事言わないで。もう私…誰にも消えてほしくないの」
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