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せき立てる私を女王様は優しい口調でなだめた。
「わたくし達のアリス、どうか落ち着いて頂戴。これから順番に話すところよ」
「………はい…」
「まず猫のことから。アリスが1番気になっているのはそこでしょう?」
頷いた私を見て女王様は、猫のくせに生意気、とボソリと呟いた。
「………猫は今、前回貴女と関わった者達を傷付けて回っているのです」
「チェシャ猫が…?」
女王様が頷き、ビルが腕の包帯を見ながら言う。
「私もこの通り。不覚でした」
「わたくしの鎌も…ダメになってしまいましたわ!!」
女王様にしては何か足りないと思っていたらそれだったのね…。
鎌をダメにされたのがよっぽど悔しかったみたいで、女王様は小さな子供のようにじたばたと足を踏み鳴らした。
そしてビルからまた、はしたないですよ、と注意を受けていた。
「それで、他の皆は大丈夫なの?」
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