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「あ、そういうことだったのね。それで私を呼ぶのに、白薔薇の扉を開けることのできる、時間くんを選んだ…」
「そういうことです。流石ですね、アリス。時間くんは危険をかえりみず引き受けてくれました」
ビルはやっぱり振り向かずにそう言った。
「そっか。ありがとね、時間くん」
ぴたっ、と時間くんが返事をした。
それを見た女王様は、わたくしも頑張りましたのに~と、頬を膨らませていた。
鎌さえなければこんなに可愛いのに、なんて事を考えていると、前を歩いていたビルの足が急に止まり、その背中にぶつかりそうになった。
「着きましたよ、アリス。さあどうぞ」
いつの間にか大広間の前まで来ていたらしい。
ビルが、大広間へと続く大きな赤い扉を、ゆっくりと開いた。
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