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温かい陽気に眠気を誘われながらのんびりと過ごしている。太陽が昇ってしばらくが経ち、あと一刻もすれば昼飯時だ。
「それで…いつ行くのだ?」
しかしのんびりとしていたのは泰久だけであって、道成は怒りを堪えているようである。
「早く管狐を返さねば、姫も不安がっているだろう!」
その管狐といえば、人形(ひとがた)の水桔と一緒になって庭で遊んでいる。
「そんなに慌てなくてもちゃんと行くよ。だけどすぐ行くのは、姫の都合があるだろう?文の返事が帰るまではまだ行けないよ」
泰久はのんびりと答えた。
「あ…そ、そうだな」
道成ははっとして自分の行動を恥じた。一応内密に動いていたのだ。姫に来客など来ていたら密かに動いた意味がない。
「泰久様。文が届きました。雅子様から……」
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