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「く、管……?狐……?」
「なるほど……だから私だったのですね?」
泰久は納得しているが道成は全然納得していない。頭の中には疑問符がたくさん詰まっている。
「えぇ……。こういう特別なものは普通の人には重荷にございます。陰陽頭(おんみょうのかみ)である泰久どのなら、探してくれはると思いまして……」
雅子が上目づかいで泰久に視線を向けた。憂いを帯びた姿は、より一層雅子の美しさを引き立たせる。
「分かりました。このご依頼、確かに承りました。……我ら二人で」
「……って、えぇっ!俺もか!?」
「なにとぞよろしくお願いいたします……」
結局、頭で整理がつかないまま泰久の道連れにされてしまった道成であった。
「そ、それで…俺は役に立つか?」
二人は左大臣家を後にし、今は泰久の家で思案にふけっている。
「ん?んー」
ややへこみぎみの道成からの疑問はあやふやなものとして返ってきた。
「だいたい、手掛かりが何もなくては見つけるのは不可能ではないのか?」
「そうだねぇ、どうしようか?」
「どうしようかって……」
(本当にやる気はあるのか?)
あんなにあっさりと承諾したからには何か考えがあるのかと期待をしていたのに、泰久にはなんの考えはないらしい。左大臣の手前、見つけない訳にはいかないのでかなり不安だ。
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