初夏の悲劇

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「というわけで、陽斗はそんな萌える容姿になったわけだな?」 「萌えっていうなよっ!!」 何こいつは弟に萌えてんだよ。あぁ、今は妹か… 「で、缶箱の中身がこれだ。」 テーブルの上に置いたのは、携帯ストラップと手紙。 ちなみに手紙は親父からである。 「陽斗、その手紙にはなんて書いてんだ?読んでくれよ」 「あぁ、じゃあ読むぞ。えーと、『陽斗へ。実は京都に行ったときにこんな物を買ってなぁ。たしか楽しい高校生活に送る前に交通事故で亡くなった女の子の念がこもったストラップらしいんだ。父さんこういうの好きだから買っちゃったよ。だが、急に仕事が入って父さんはもうイギリスに戻らなければならん。ということでこのストラップを少し預かってくれんだろうか。飛行機にこれを持ってくと墜落しそうだからなぁ、はっはっはっは(笑)。だから、これは開けちゃいかんぞ。物置にでも保管しておいてくれ。それじゃあ元気で。』…」 「…ってふざけんなよ!?『開けちゃいかんぞ』ってなに変なアイテムと一緒に手紙入ってんだよ!?開けちゃうだろうが!!」 前にいる2人が後ろを向いて肩をプルプル震わせている。 「なに笑ってんの…?こっち向いてみろ、おい…」 こちらを振り返ってヤツらは、キレそうになっている俺にこんなことを言いやがった。 「あははは。でも私は女になっちゃっても陽にぃのこと大好きだよ」 「そうだな。俺もそうなったお前に萌えている。」 なんじゃそら、こら。
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