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「話を戻しますと、陽斗さんのお部屋にはエロ本はないのですね」
「うん。まあ確かにそうだけど、エロ本って言っちゃうんだ…。さっきまでの遠回しの言い方は一体何なんだよ」
「ふむふむ、なるほど。陽斗さんはインターネット派というわけですね。参考までにどの様なプレイがお好みなのかお聞かせ願いますか?」
「なんか会話が成り立ってないよね?」
「まあ、ここまでは冗談として…」
委員長さんはいきなり真剣な顔をして、こう続けた。
「あなたは本当に、日向陽斗さん本人でよろしいんですよね?」
委員長さんは真っ直ぐ俺の目を見て、答えを待っている。
「あぁ、確かに俺は日向陽斗だ。だが…」
俺は少し呼吸を整えてから、ずっと疑問に思っていたことを委員長さんに尋ねた。
「なんで委員長さんがそのことを知ってんだ?あんたは一体何を知っている?ほんの些細なことでもいい。教えてくれないか?」
委員長さんは一度目を逸らし、そして再び目を合わせてから、
「残念ながら私はあなたが陽斗さんだということを知っているだけなのですよ。それ以上のことは分かりませんので、お教えできることは何もありません」
と、申し訳なさそうに委員長さんは言った。
「ならどうして俺が陽斗だと分かったんだ?」
「あなたが女の子の姿になるのを目撃していたからです」
「は?」
え?何?どういうこと?
「いや…、でもあの時は妹の愛理しかいなかったはず。ってか委員長さんとはまだ知り合ってなかったし…。どういうことだ?」
「ややシリアスムードでこの様なことを言うのは心苦しいのですが……、よろしいですか?」
問いかけてくる委員長さん。
「もちろん。今は少しでも多くの情報が欲しいから」
「それでは……、コホン。えーっと、申し遅れました。私は日向陽斗さんのストーカーをさせて頂いている塚本奈緒と申します」
委員長さんはにっこりと、そして何故か得意気に、胸を張って堂々とそう発言した。
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