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新クラスになってから
一学期が終わり
夏休みになった
僕は空と夏休みの宿題を学校の自習室でやっていた
一応進学校である凰陵学園は、長期休暇中でも学校は解放されてるのである
「あ゛ー!!暑いし、眠いし、めんどくさいし!!なんか面白い事ねーのかよぉ!!」
宿題に飽きた空は呪文のように言う
「しょうがないでしょ。空が寝坊するから、冷房のある学習室満員になっちゃったんだから…」
僕は呆れたように言うがやはり暑いものは暑いらしく
「やってらんねー!!やめだ!!や・め!気分転換に話ししよーぜぇ」
余程飽きたのだろう
空は参考書を全て払い飛ばした
「いいけど…僕には話すネタなんてないよ」
「なら、俺の取っておきの話をしてやろう」
そう言うと空は教室のカーテンを閉め電気を消し、
どこから持って来たのか
懐中電灯で自分の顔を下から照らしながら話し始めた
「この学園内の『研究塔』って知ってるかぁ?」
研究塔とは
どうやら先生達しか入れない場所らしく
そこで先生は実験や研究を重ねる場所の事で
勿論生徒は立入禁止だ
「知ってるけど…それがどうしたの?」
「そこではなぁ…考えられないような研究をしてるって噂だぜぇ」
「考えられないような研究?」
「あぁ、人体実験を繰り返して特殊な能力を身につけさせた“兵隊”を率いて世界征服を企んでいるらしいぜぃ」
空は不気味な笑い声をあげながら僕にそう話した
「やめてよ、僕はそんなオカルトチックな話しは信じないの知ってるでしょ?」
「ちぇっ、夢人の癖に夢の無いやつだな…」
空のくだらない駄洒落は華麗にスルーをし
少し考えた
確かに
僕は超能力的なものを全く信じないが
実際、空の話はどこかに引っ掛かるような感覚があった
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