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扉を開けた僕たちは
研究塔のホールらしき所にたどり着いた
壁の色は全て白
その純白を否定するかのように黒い扉がいくつかあるだけで
造りは普通の家と変わりは無い
そして不思議な事にホールらしき所にはなにも置いていない
「へぇ~以外と中は綺麗だな、とても研究をするような場所とは思えないな」
「そうだね…でもなんか寒くない?夢人は大丈夫?」
「僕?全然寒くないよ、ほら、僕暑がりだからかな」
どうやら詩音は怖がっているようだったので
これ以上不安にさせないように軽くおどけて見せた
「そう?ならいいんだけど…なんか嫌な予感がするの……手、つないでいい?」
「え?何か言った?」
詩音は本当に怖がっているのか声が小さく
僕には詩音の言葉の後半が聞き取れなかった
「え?な、なんでもない、気にしないで…」
詩音の
さらに声が小さくなった
これは早く終わらせて帰ろう
「二階に行く階段ってどこかな?探してみよ…」
「ようこそ、ワガ研究塔ヘ」
僕が言い切る前に謎の声がした
「誰!?」
詩音の叫び声と同時に
上から豚らしき形をした石像が一体落ちてきた
「ヒサシブリの外からのニンゲンだ!!さっさと殺して喰ってやろうか!!」
僕たちは背筋が凍り付いた
石像が喋っている…
しかも僕たちを殺す気だ…
「し、詩音、逃げ…」
僕は必死で声を出し詩音に話しかけようとしたが
またしてもあの声に阻まれた
「アイニク俺様は腹が減ってるんだ、死ネ!!」
恐ろしい言葉と共に
800kgはあるだろうと思われる巨体が僕ら目掛けて突っ込んで来た
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