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リビングでのんびりとお茶をすすっていた信弘は、雄介の怒鳴り声に思わず飛び上がってしまった。
「な、なな何でってどう言う意味だ」
「今日、入学式だろ!!!」
「…………あっ」
「あっ、じゃねーよ!!早く用意しろ!!」
登校初っぱなから遅刻なんて堪ったもんじゃないと顔をしかめる雄介だが、不安になる事は他にもあった。
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それは数日前、雄介が提出する為の課題に悪戦苦闘していた時だった。
ピーンポーン
チャイム音が鳴り、出てみると、そこには新次の姉がにこやかに立っていた。
「事情なら既に新次から聞いたわ。今日は雄介君を立派な女の子に変身させてあげるから期待してね!」
「……えっーと…」
早口にそう言い終わると、目を輝かせながら手を握ってくる。
その表情は明らかに楽しんでるようにしか見えない。
嫌な悪寒が背中を走り、一歩後ずさる雄介だが、時、既に遅しだった。
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