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ハァ…ハァ…ハァ……
「待ちやがれ!ガキが!」
頭は真っ白だった。
足は鉛のように重く感じ、恐怖からガクガクと震えている。
飛び抜けて足が速い訳では無い雄介だったが今日ほど自分の足を呪った事は無い。
「(あとちょっと…!)」
倉庫のドアまで後数メートルと来た時だった。
安堵からか足がもつれ転倒してしまった。
「おう、ここまでやなぁ姉ちゃん」
「っ……!」
足はもう使い物にならなかった。
男の手がぬっと伸びた瞬間…、
凄まじい轟音と共に砂煙が舞い上がった。
視界が塞がり暫く顔を手で覆っていると、聞き慣れた声がドアの方から聞こえた。
「随分間抜けな面してんじゃねぇか、岸尾雄介」
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