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ドアを蹴っ飛ばし、相変わらずの荒っぽい口調で憎まれ口を叩いたのは紛れもなくあの暴君男だった。
「………鬼川」
「さっさと帰るぞ、…ってか、誰だこいつら」
鬼川が雄介の後ろに目を向けると、それまで傍観していた二人がはっと我に返り、懐から刃物を出し襲い掛かって来た。
「そういや、この辺で怪しい奴が彷徨いてるとか報告書に書いてあったな」
そう呟くと、二人の攻撃をサラリと避け後ろに回ると、手刀を首元を目掛け打ち込んだ。
呻き声を上げる間もなく男達は倒れた。
「………」
余りの一瞬の出来事に呆気に取られて居ると、おら、帰るぞと鬼川はすたすたと歩きだしてしまった。
「ちょっ、まっ……ぃ!?」
慌てて起き上がろうとしたが、足首に痛みが走った。見ると腫れている。
さっき転倒した際に捻ってしまったのだろう。
はっと鬼川の視線を感じ、これ以上苛つかせては不味いと思い無理に立とうとした瞬間…
ふわり、
上半身が浮かんだ。
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