#1~眠らない街、歌舞伎町へ~

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歌舞伎町No.1ホストになりたい、そう思い始めたけどどうやったら客が付くかがまだわからなかった。 何が違うんだ。 ナンバー上位張ってる先輩より顔だけなら俺の方がいい。(俺ナルシストだけど、ナルシストでも許されるイケメンだし。) なら、ホストは顔じゃない。 キャラやトークなんだろう。 当時、不動のNo.1だった慶さんの卓に付かせてもらって観察してみることにした。 テーブルマナーや基本的な仕事、それからホストとしてやってはいけないこと(俗に言う爆弾)以外は何も教えられてないから、接客テクは盗んで自分のものにするしかない。 「慶さん、お願いがあります。」 「お前、そんなに改まってどうした?辞めるとか言うなよ。」 「まさか。あの、いつまでも俺に客って付かないじゃないですか。だから接客の勉強したくて…。慶さんの卓、付かせてもらえませんか?」 「あははは!なんだ、そんなこと?いいよ。」 「ありがとうございます!」 「よろしくな。」 「はい、こちらこそ。」 慶さんは何かと俺たちみたいな新人を気にかけてくれる、優しい先輩だった。 No.1なのに気さくで面倒見のいい兄貴みたいな人だから頼みやすかった。
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