#1~眠らない街、歌舞伎町へ~

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いぃぃらっしゃいませぇぇぇぇい!!! 馬鹿デカい、来客を告げる声が聞こえた。 今日も始まる。 「慶!同伴出来なくてごめんねぇ。撮影長引いちゃってさぁ。」 「気にしなくていいよ。俺は結構ショックだったけどね。」 「ごめんって。そのかわり今日は派手に行くよぉ!」 早速慶さんのお客さんが来た。 今日1番乗りの客は杏奈さんという若くて綺麗な人。慶さんの太客で職業は売れっ子AV女優。 1、2回ヘルプに付いたけど気さくで優しいから、杏奈さんのヘルプは好き。 まぁ俺は相槌打って酒瓶空けるだけの駄目ヘルプなんだけど。 「こんばんは、杏奈さんお久しぶりです。僕もご一緒していいですか?」 「いいよぉ!あ、前に付いてくれたよね?綺麗な顔してたからよく覚えてる。」 「杏奈は面食いだからなぁ。顔だけじゃなくてちゃんと名前も覚えてる?」 「失礼な男!えっとねー、蘭君だよね?」 「はい。覚えててくれたんですね。嬉しいです。」 「ほらぁ、ちゃんと覚えてたじゃん!蘭君好きなの飲んでいいよ。」 「ありがとうございます。じゃあ、ビール頂いても…?」 「謙虚だねぇ。慶、イケメンは謙虚なんだよ!慶も見習いなよ。」 「俺十分謙虚だと思うんだけど。」 それから慶さんと杏奈さんは2人の世界へ入って行った。 この方が都合がいい。 じっくり慶さんを観察出来るだろ? オーダーした自分用のビールやヘルプ用の焼酎を黙々と飲みながら慶さんの仕事を観ていた。
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