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それは、栗島の言っていた「計画は順調か」とか「処分は俺が行う」という言葉。
その“計画”とは一体何なのか?
確信は無いが、この計画と黒い箱の中身に何か関連しているのかとふと思った。
珍しく頭を働かせたような気がした。
「あっ!そうだ!竹塚に見せたいものがあるからちょっと待ってて」
田島は慌てて何処かへと走っていった。
「誠、大変なことになっちゃったね……」
田島がいなくなったと同時に秋穂さんは事の重大さを俺に伝えた。
凶悪な犯罪組織を本気で怒らせたのだ。殺されるだけじゃ済まないのかもしれない。
手のひらの汗が尋常じゃなかった。
恐怖だ。恐怖で頭は一杯だった。それを隠そうと思えば思うほど逆に怖くなる。
俺はまたしても命の危険を感じていた。
学生時代のあの黒歴史以来の死の覚悟だ。
「そう……ですね……。ターゲットにされちゃいましたしねぇ……。今はここで待機していた方が身のためですよ」
喋りがしどろもどろになってしまった。動揺や恐怖が隠しきれていなかった。
「本当こんなことに巻き込んでごめん。誠。でも、何とかして終わらせるから」
秋穂さんの力強い言葉に俺は心を揺さぶられた。
それを聞いて俺は迷い無くこう返した。
「俺も秋穂さんに最後までついていきます。俺に出来ることがあったら何でも言ってください」
言い終えたところで自分が何を言ったのかを把握し、恥ずかしさが込み上げた。
「誠も随分変わったな。顔つきも男らしくなってきたし」
「そんなことないですよ」
冗談を言い合ってこんなに笑えるなんて。
友達と呼べる人がいなかった俺にとっては新鮮な気持ちだった。
同時に秋穂さんには友達以上の何かを感じていた。
すると、田島さんが戻ってきた。
手には何枚かの資料を抱えていた。
田島の顔には何か危機感を感じた。
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