過去を知る男

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田島は資料をテーブルに置いて、こちらに見せてきた。 「これは俺が“黒い星”に調べた全資料だ。奴等に関することは調べるだけ調べ上げた。特にヤバイのがこれだ」 資料から何枚か取り出してこちらに見せてきた。 「これは俺が確認したプロの暗殺者たちだ。しかも超一流のだ。まず、こいつは栗島だ。こいつは血を見るのを好むサディスティックな殺し屋だ。ナイフなどの刃物を使って獲物を殺害するのが主な殺害方法だ。また、格闘術に関してもかなり凄腕らしい」 栗島……。これまでに2度会ったが精神が狂っているのが一目見ただけで分かるそんな男だった。 痛みを快感に出来るのはこの男くらいだろう。 「で、この男なんだが……」 田島の顔色が明らかに変わっていた。 「こいつは一番危険なタイプの殺し屋だ。通称サイレントと呼ばれている。本名は不明。顔写真もこの写真のみで生年月日も不明。一切が謎に包まれていて分かっているのは、常に冷静沈着でどんな任務も完璧にこなす失敗の無い奴だ。噂では外国の政府要人をも暗殺したと言われている。格闘、射撃に関しては最強とまで言われている」 一切が謎に包まれた殺し屋。与えられた任務は完璧にこなす最強の殺し屋。 きっとこいつが最大の敵であるのはよく分かった。 「それにしても厄介な奴らばっかりね。特に最後のこいつは組織の中でも最重要人物として色々調査を行ったのに何一つ情報が出てこない男だった」 田島は秋穂さんの話に頷いていた。 「こんだけ調べても有力な情報が出ないとはな……」 田島は腕組みをした。 「ちょ、ちょっと待ってください!この殺し屋たちは今も俺と秋穂さんを狙いに血眼になって探していることですか!?」 俺は突然大声で話した。田島と秋穂さんは驚いているのが分かった。 「そういうことになる。残念だが……」 ものすごい絶望感が俺を襲ってきた。いっそ自殺でもした方が幸せなのかもしれないのかとすら思った。
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