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「本名は分からない。勿論生年月日も分からないし、居場所も不明だ」
田島は断言するかのように言った。
「じゃあ、何を知ってるの?」
秋穂さんは苛々しながら言った。
「まあまあ。落ち着けよ。俺が何日も張り込んでようやくそのリーダーらしき男の写真を撮ったんだ」
田島と言う男は優秀なエージェントであるということを裏付ける言葉だった。
「本当に?その写真は?」
「これだよ」
田島は秋穂さんに手渡した。
「何なのこれ?顔が暗くて分からない」
秋穂さんは不満を露わにした。
「写真だと分からないが、顔を見たのは確かだ。事実、その写真の男の周りには手下と思われる男たちが何人もいた。かなり厳重な警備だ」
確かにそんなに警備が多いならば首謀者もしくは重要なポジションの人間であるだろう。
「身長は180cmほどで、中肉中背、年齢は25~35の間、髪の色は黒だった。俺が覚えてる特徴はこれくらいだな。肝心の顔は恐らく、整ったイケメンのような顔立ちだったと思う」
い、イケメン……。俺が苦手、いや嫌いなものだ。
しかもそのイケメンがテロリストのリーダーだって?
ブサイクのヒーロー対イケメンのテロリスト。立場が逆のように思える。
ってかヒーロー役は田島さんか。俺は脇役でしかない。
そんな自虐心を持ちながら田島の言った首謀者の特徴を頭にインプットした。
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