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「誠?」
秋穂さんは突然俺に語りかけてきた。
「どうかしました?」
俺は少し驚きながら言った。
「私、思ったことがあるの」
何を言われるのかとゾクゾクそながら耳を傾けた。
「誠がさ、なんか顔つき変わってきたって思うの」
顔つきが変わった?あまりに意外な言葉だったので俺は首を傾けた。
「どんな感じに変わりました?」
「そうねぇ……。最初の頃はちょっと気弱な顔をしてた。人生を半ば諦めていたような感じもた」
あまりに図星だったので俺は秋穂さんが如何に鋭いかを理解した。
「でも、今は少し男らしくなったような気がするの。気弱な感じが日に日に払拭していっていると思う。前の誠と今の誠、どっちが好きって聞かれたら今のがいいって言うよ」
「ハッハッハ……」
俺は自分でも思う。この時の俺の顔はものすごいイヤラシイ顔つきだったろうなと。
「そ、そうですか?お、俺はそんなことないと思いますけど……」
秋穂さんの破壊力のある言葉に俺は呂律が回らなくなりそうだった。
「いいや。私は思うよ。だから自信持って!」
そう言って、俺の肩をポンと優しく叩いた。
どうして俺みたいな彼女居ない歴=年齢+童貞のブサイクの俺にそんな気のある行動を取るのだろうか?
このままだと俺は秋穂さんに心を奪われそうになってしまう。
いや、もう既に奪われているのかもしれない。
「自信……ですか」
秋穂さんは俺の目を見て頷いた。
秋穂さんの一つ一つの仕草が俺に癒しを与えてくれた。
俺の恋心はもうここから始まっているのだ、と確信した。
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