過去を知る男

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「おい、何二人でイチャイチャしてるんだ?」 田島がノックもせず、いきなりドアを開けてきた。 俺は突然のことで体がビクッと反応した。 「ちょっと!驚かせないで下さいよ!」 一応状況が状況なため、急に入ってこられたら身構える必要がある。 「あ、ああ。すまん。折角だし、ここで少し雑談でもって思って」 田島は急にしゅんとした表情になった。こんな風にされたらさすがに責められやしない。 「もう、いいですから。気にしないで下さい。ちょっと驚いただけですから」 俺の言葉に田島は安堵の色を浮かべた。 「あっ、ちょっと待ってて。携帯取ってくるから」 田島は急いで階下へ降りていった。 携帯といえば、俺は思い出した。あの携帯のことを。
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