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栗島の携帯だ。これまで幾度となく世話になった。
だが、ピクチャのフォルダと最新のメールの一件しか見ていなかった。
携帯にはもっと機能がある。それは……、着信履歴だ!
着信履歴はいくら使いこなしても消すことは出来ないはずだ。
つまり、もし電話で“黒い星”の誰かと会話をしていれば、彼らに近づくことが出来るかもしれない。
俺は今日は天才的にひらめきが冴え渡った。
俺は早速この事実を秋穂さんに伝えた。
「着信履歴!?そうか、私はこんな単純なところを見落としていたのね……」
秋穂さんは気づいているかと思ったが、案外そうでもなかった。
「で、携帯はどこにあります?」
「まだここにあるわよ」
秋穂さんはポケットから取り出した。
「秋穂さん、これ大丈夫ですか?これで居場所とか特定されないですか?」
すると、秋穂さんは不敵な笑みを浮かべた。
「私はエージェントだよ。そのくらいのことは手を打ってある」
自信満々に俺に告げた。俺は安心して、着信履歴を見た。
そこには一人の名前しか表示されていなかった。
「古田……」
この名前が何件も何件も表示されていた。
「こいつと何度も通話を……?」
俺はボソッと呟いてしまった。古田と栗島は何の繋がりなのだろうか?
俺はこの古田という人物に何か変な予感を感じた。
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