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そうこうしているうちにあっという間に夕飯の支度が終わってしまった。
秋穂さんの手際の良さに俺は心底驚いていた。
「田島~、出来たよ~」
秋穂さんは完成したロールキャベツをテーブルの上に並べた。
「よし!出来たぞ!」
田島は大声でガッツポーズをしていた。
「これで今現在の位置情報を割り出したからこれで大丈夫だと思う」
すると、田島はまたキーボードを打ち込み始めた。
「竹塚、この位置情報のデータをこの携帯に送っておくからこれを持っててくれないか?」
「いいわ。任せといて」
秋穂さんは即答した。俺はあまりの返事の早さに少しびっくりした。
「向井さん、明日古田という人物を尋ねましょう。当然俺と竹塚と向井さんの3人で」
田島は俺の目を見た。俺の反応を待っているのだろうか。
「お、俺は全然構いませんよ。危険が無ければいいのですが……」
あくまでこれは希望だった。でも“黒い星”のメンバーの一人と会う以上多少の危険は伴うことは覚悟していた。
「絶対危険が無いとは言い切れませんが、出来るだけ俺は向井さんを守るつもりでいます。罪の無い人が死ぬのは俺が最も嫌いなことなので」
田島は強く言い切った。か、かっこいいとしか言いようが無かった。
「あら、私だって誠を守るよ」
秋穂さんはふくれた顔で言った。
ということで明日の午前中にこの位置情報を元に古田という人物に会うこととなった。
古田……。一体どんな人物なのか?男なのか、女なのか?それすらも分からない。
考えれば考えるほど謎が膨らむばかりだった。
そして、ロールキャベツの湯気がゆっくり立っていたのを俺はじっと見ていた。
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