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「田島さん、いやぁ驚きましたよ。サイズが同じだなんて」
秋穂さんと田島はスーツを脱いだ俺をじっと見つめていた。
「誠、中々似合うじゃん」
秋穂さんは本心からなのか分からないが俺に向けて言ってくれた。
ここ数日スーツだったのでこういうカジュアルな服装が心地よくて仕方が無かった。
「向井さん、ちょっといいですか?」
田島が俺を呼んできたので俺は近くに向かう。
「向井さん、あなたにこれを渡します」
田島は俺に武器のようなものを手渡してくれた。
しかも二つある。一つは小さめの拳銃ともう一つはスタンガンだった。
「あの~、これは何ですか?」
俺は当然田島に尋ねた。
「竹塚から話は聞きましたよ。人を撃ったってことに対してあなたがすごく後悔していると聞いたので護身用に殺傷能力のないこの二つの武器を渡そうと思いまして」
「じゃあ、この拳銃は何ですか?」
殺傷能力の無い拳銃とはどういうことなのだろう?
「これは麻酔銃です。最新鋭の。ちょっとここのボタンを押してください」
田島は俺の指をボタンに押し付けた。
すると、拳銃を持つところの底から何か出てきた。
「ここに強力な麻酔薬が8発分内蔵されています。この麻酔薬は人体に注入されると最大で5~6時間は眠らせることが出来ますよ。くれぐれも扱いには気をつけて」
麻酔薬は小さい注射針に入っていた。
「スタンガンの使い方は分かりますよね?」
テレビで何度か見たことがあったので俺は頷いた。
「この麻酔銃は普通の拳銃と同じ要領で発射出来ますからね。トリガーを引けば自動的に出ます」
エージェントってこんなものも持っているとは……。
本格的に俺もスパイの仲間入りを果たしたような気がした。
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