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私は誠を乗せた車を降りて、田島と共に古田の居場所へと向かっている。
「竹塚、こっちだ!」
田島は私を呼んでいた。何年経っても頼りがいがあることに変わりがなかった。
任務の時は田島に全幅の信頼を寄せていた。本当に頼れる男だった。
「この辺だ。レーダーがこの位置を指している。間違いない」
田島は慎重に歩を進めていった。私も同じように進んだ。
「あそこだ。あそこに古田は居る」
田島が指差したのは一軒のオープンカフェだった。
今日は晴れているので店の前の席に何人もの客がコーヒーを楽しんでいる。
「あの客の中に古田はいる訳?」
私は田島に訊いた。
「ああ。俺は大体目星はついてる」
この鋭い勘もまだまだ鈍っていなかった。
「どの人?」
「恐らく、あいつだと思うんだ」
田島はその客を指差した。
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