貴重な証言

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田島が指差した先にはスーツ姿の男性だった。 外のイスに腰掛け、新聞をじっくり読んでおり、時折コーヒーを啜っていた。 「田島、本当にあいつが古田なの?」 私は半信半疑だった。もし間違えたら本物の古田が何かしらのアクションを起こす可能性がある。私が予測するのは応援を要請するなんてことだと思う。 「レーダーの位置が丁度あの場所の可能性が高い。だから俺はあいつが古田だと思った。ある意味賭けだがな」 田島は自分自身の推理に100%自信がある訳ではなかった。彼は続けた。 「竹塚、お前はここにいろ。絶対動くなよ。一応お前は指名手配中の身だ。下手に行動すれば逮捕されるぞ」 もっともな意見だった。私は反論出来なかった。 「いいか。俺がやばくなったらすぐに駆けつけてくれ。それからこの無線を持ってろ。俺と古田らしき人物の会話が聞けるからこれで判断してくれ。いいな?」 私はわかった、と一言返事した。田島から貰った無線を握り締め、私はじっと物陰に隠れて待った。
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