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「い、いや……別に、ただ話をと思って……」
ただの話でこんなに恥ずかしがるものなのか。
誠がその言葉以降、ずっと考えて黙り込んでいたので私から切り出すことにした。
「誠、そういえば黒い箱のことについて少しわかったことがあるの」
すると、誠の目が変わった。表情も変わり、私の目を反らさずじっと見てきた。
その目は真剣なのだが、どこか好奇心に満ちているようにも見えた。
「何が分かったんですか?」
誠の眼差しを受け止めると何故かこっちも恥ずかしくなってくる。よく分からないのだが。
「古田によると、“黒い星”はあの黒い箱の中に何か大きな犯罪計画に関するものが入っているらしいの。それに秋葉原の酒場でも栗島が“計画”と口にしていたこと分かった。最初はその計画は私たちの件かと思っていたけどそれとは違う計画だと思うの。古田の話を聞いてそれを直感で思った」
誠は黙って私の話を真剣に聞いていた。
「秋穂さん、栗島は黒い箱の仲にUSBが入っていると言っていましたよね?まとめると、“黒い星”は大きな犯罪計画を近々行うつもりなのだが、その計画を行う上で重要なUSBが入った黒い箱を秋穂さんに奪われて血眼になって探しているということですね」
「そのとおり。問題は奴らの犯罪計画が何かということ」
黒い箱の中身が大分分かってきた。もう少しで全貌が分かるところまで来ていた。
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