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それにしても、古田のあの一言は随分引っかかる。
“黒い星”の一部の幹部の他に“公安極秘諜報部”のスパイも知っているという点だ。
多分、今もそいつは何食わぬ顔でスパイ活動を陰で行っているのだ。
大きな犯罪計画にも一枚噛んでいる。このままだと“公安極秘諜報部”が消滅する危険性も出てくるかもしれない。
そう思うと私は気が気ではなかった。
「秋穂さん?どうかしました?」
はっと我に返ると誠は私の顔を心配そうに覗き込んでいた。
「え、ええ!だ、大丈夫よ。ちょっと田島のところ行ってくるから」
私はこの事をまず田島に話そうと思った。きっと田島もこの件で話し合おうと思っていることだろう。
誠は私を目で見送った。
「あれ?いない?」
田島の姿が見当たらなかった。台所、トイレ、風呂場、寝室、居間……。何処を探してもいない。
「田島!何処にいるの!」
私が少し大声を出すと、『ここだ!』と床下から聞こえてきた。
「ま、まさか地下があるの!?」
私は驚きのあまり思っていたことを口に出してしまった。
しばらく探索すると物置の扉を見つけて、ドアを開けると地下へと続くハシゴが目の前に飛び込んできた。
私は恐る恐る入ると、そこには衝撃の光景が広がった。
「うわぁ~。何これ。凄すぎる」
開いた口が塞がらないとはまさに今私がその状態だった。
田島の家の地下は全て武器庫と化していた。
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