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「大丈夫、私もさっき帰ったところだし。」
やっぱあっくんはイケメンだ。
容姿も心も。
あのたっくんとは大違い。
17年間一緒にいてこの性格の違いはなんだろう。
「入ってくれてよかったのに。」
優と違ってそんな堂々としたコトは私にはできなかった。
「あれ、母さんいないや。
先にオレの部屋行ってて。」
笑顔でそう言われると私は喜んであっくんの部屋に向かった。
ほんの数分待てば、あっくんが制服から私服に着替え、コーヒーを淹れてもってきてくれた。
思わず私は涙が出そうになった。
本当になんだろう。この差は。
たっくんなんてこの前私を1時間待たせた挙句に、目の前で着替えるわ飲み物は水道水だわで、最低な男の子を見事演じてくれた。
しかも自分はちょっと高めのジュースを飲んでたしね。
「くつろいでくれていいよ。」
正座をしている私にあっくんは優しい一言をかけてくれる。
たっくんとは逆だ。
たっくんは私に正座をさせる。
「小さい頃は遠慮なんかしなかったのに。」
あっくんに言われて気づいた。
そうだ。私はあっくんのコトが好きと気づいてからやたらと遠慮するようになった。
「別に遠慮なんてしてないよ。
そうだ、今日はどうしたの?
わざわざ呼び出して。」
少しの期待と不安を抱え、私は勇気を出して言った。
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