番長と秋人

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番長は亜音を慰めると家に入った。 母以外は誰も帰っていなかったのでリビングで着替えソファーに座った。 携帯が鳴り、ディスプレーを見ると“秋人”の文字が出る。 3回目のコールで通話ボタンを押した。 「…もしもし。」 「番長、今大丈夫?」 「うん。別に。」 そう言って、家から一番近い公園に秋人と行くことになった。 「いきなり呼び出してごめん。」 「いいよ。それより何?」 「驚くかも知れないんだけどオレ、太郎のコトが好きなんだ。 恋愛対象で。」 秋人の真剣な表情と声に番長は最初は驚いたものの直ぐに理解し、亜音の泣き顔を思い出した。 「…そうなん。」 「驚いた?」 「うん、まあ。」 2人はベンチに座る。 傍から見ればカップルにも見えるかもしれない。 「引いた?」 「なんで?」 「だって、男が男を好きなんだよ?」 「いいやん別に。 好きならそれで。 なに?引いてほしいん?」 番長が笑うと秋人も笑った。 (やっぱり番長は番長だ。) 秋人は何でも理解してくれる番長を信頼していた。 「太郎が好きってコト、亜音に言ったんだ。」 番長は何も口出ししないで静かに秋人の話を聞いた。   
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