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「はい、凛!」
腕をこれでもかと真っすぐに伸ばす凛には、下心が丸見えだった。
「秋人君は男が好きなんですか?神田君が好きなんですか!?」
「昨日の反応からして、アイツには性別は関係なく、太郎が好きなんだと思います。
はい次、優。」
「神田太郎は風間秋人のコトが好きなんですかァ?」
「それはわかりません。はい次、美緒。」
「風間君は、女に興味はないんでしょうか?」
「あるとおもいます。
あれ、もう質問なし?
…あ、亜音。」
「なんであっくんは、私にそのコトを話したの?」
そう。それが疑問だった。
なんで私?
今まで恋愛の相談なんて一度もなかったクセに。
なに?私に同情してたの?
私の気持ちに気付いてて私が告白する前に蹴落としたかったの?
「秋人は、亜音が一番大切って言ってた。
…太郎よりも。
どんな女の中でも亜音が一番大切で好きって言ってた。
でもソレは、妹として。
世界で一番大切でいつも自分を気にかけてくれて、いつも自分を頼ってくれる家族に黙ってたくなかってんて。」
番長の言葉が頭に響いた。
一番大切なのに、愛した人は違う人。
うん。自分の考え方が汚いってことはわかってる。
完璧にたっくんへの嫉妬だということもわかってる。
一番好きだって言ってくれたのに違う人を好きになったあっくんはズルいし酷い。
でも、こんなにも私を大切に想ってくれてる“あっくん”を、『私に同情してる』だとか『蹴落とした』とか“たっくん”に『嫉妬』したりする私が一番汚くて、最低だ。
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