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「まあでも、諦めなくてもいいんじゃない?」
それまで黙って聞いていた美空が口を開いた。
「相手は“男”が好きなんじゃないんでしょ?
だったら、亜音に気を持たせばいいんでしょ。」
美空にそう言われても顔を上げることができなかった。
“妹”として見てると言われた。それってどんな人よりも難しい気がした。
「いつもの亜音ならもっと自意識過剰なのにね。」
足音と共に、凛の声が近付いてきた。
そして、下を向いている私の顔をグイっと上げた。
「下向いてないで、コッチ見なよ。」
そう言って私の左隣に座った。
「私からしてみれば、秋人君が其処らの変な女とくっつくより男とくっついてくれた方が安心よ?
でもそれ以前に、アンタに幸せになってもらいたい訳よ。わかる?
勿論、私と秋人君がくっつくのが最優先だけどね。」
得意そうに笑う凛に、珍しく感謝の気持ちを言った。
「…ありがとう。」
普段、凛とは言い合いばかりで、いつも茶化して、こんな風に真剣な話をするコトだってあったりもする。
でもこんな風に正面から心から“ありがとう”はかなり照れた。
「振り向かないなら、振り向かせたらいい。
努力しないよりする方がいい結果がくるかもよ。
コレ、スポーツでも一緒。」
「一緒。」
美空と麗実が私の方を見てにっこりと笑った。
可愛すぎて、不覚にも萌えてしまった。
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