Act.01_全ヘル男

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―――と、これが一週間ぐらい前の話。 問い合わせてみたら大家さんと順調に話が進み、今から一緒に部屋を見に行く所。 大家さんはとってもお人好しなおじさんと言った感じ。 ちょっと小太りだけどいつもニコニコしててこっちまで意味もなく笑顔になる。 「しかしアレですね~、大変でしょう一人暮らしとか」 「はい、確かに学生ん時に思ってたのよりキツいものがあるっす…」 「おほほ、若い内はたくさん苦労して色んな経験を積むのが一番! 大変だろうけど頑張って、何かあれば私にも遠慮なく言って下さいな」 「あ、ありがとうございます!」 「おほほほほっ」 この、人のいいおじさんの独特の笑い方が結構好きだったりする。 何だかこっちまで「ほほっ」と笑ってしまいそうになった。 談笑しながら歩くと、目の前に薄いモスグリーン色の建物が見えてきた。 結構大きいアパートだ、外観に薄汚れた文字で 【IGA-ハイツ】 と書かれている。 あそこか、と俺の中でワクワクした気持ちが疼いた。
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