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「えーとね、あっちが北館でこっちが南館。
北と南とでは部屋の内装とかもちょっと異なるので家賃が違ってくるのね」
「へぇー…変わってるんですね」
「まぁ色んな人が来るからね、皆さんの希望を聞いて改装してたらそうなっちゃって」
うーん。
大家さん人が善さそうだから、契約者の意見を全部尊重してたらそんななっちゃったんだろうな…。
「今回おたくの希望は102号室と言う事で、北館のこっち…」
そう言って大家さんが歩き出そうと一歩足踏み。
でも、何故か一歩足踏みした所でそのまま動かなくなってしまった。
あれ?と思いながら大家さんの顔を見ると
ニコニコ笑顔が
青ざめたハニワみたいな顔になってた…。
(∵)←こんな感じだ。
(ハ…ハニワかよ…)
「あ、あわ、わわ」
「お…大家さんどうしたんですか?
顔がその…顔色がすごく悪いですよ」
さすがにハニワみたいですよとは言えなかった。
何事なのか、俺も硬直した大家さんの視線の先を見てみる。
全身真っ黒な男がしゃがんでバイクをいじっていた。
頭はガッポリと全ヘル、体はピッチリしたボディスーツを着こなして、見た感じF1レーサーみたいな人だ。
大家さんはあの人の何が怖いんだ?
聞こうと思って横を向くと
大家さんが
電柱に隠れてる。
(はみ出てて余計に目立つよ…)
顔はもう、ハニワと言うよりムンクみたい。
そこまで怯えるって事は、あの全ヘル男…犯罪者か何かか?
俺もちょっとビビってると、全ヘル男が何か言ってるのが聞こえた。
低音のちょっと厳つそうな声で
こんな事いいな
出来たらいいな
あんな事こんな事
出来たら
ちゃら~ら~ら~♪
……メロディからして、ド○えもんだ。
全ヘル男がバイクいじりながらド○えもん熱唱してる。
空を自由に
飛びたいよー
はい、ヘリコプター!♪
しかも歌詞がアバウトだ、うろ覚えってレベルじゃねぇぞ。
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