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私と彼らとあなた
わりと鉄の味、鉄の味は好きだ、あの過剰なむせかえる感じ鉄の味。私はあなたに跨って無限の嗚咽にむせび泣いていた。あなたはそれにこらえきれなくなって私の首元を締める、私は駄々をこねるようにあなたの首を掻き毟ったわ。私の長い爪があなたの頚動脈を切り裂く。あなたの首はついに耐え切れなくて私の顔にぴゅっぴゅっと射精する。顔射された私はそれらを丁寧にちゅっちゅっと舐め取りながら、にんまりと笑ってこう言ったわ。結局、答は分かったのかしら? と、ね。しかしあなたからはもう応答は無かった、ただひたすらに陰茎がかたかった事、そして辺りをくすぐる鉄の匂い。つんときて、私は愉悦に浸る。私の周りは鉄でいっぱいいっぱい。鉄鉄鉄鉄鉄鉄。
錆びた味は妙に血液に染み入りやすい。経年変化が鉄を柔らかく優しくさせるからか。だって酸素だもの鉄だって呼吸している、その身を朽ち果てさせながら。ちょうどそこからぬけた先の目の前には塗装の剥がれたむき出しの鉄の手すり。ゆらりと近づきそっと手を置いてみる、赤茶けたその生物からは意外とざらざらしているのだなという触感とひんやりとした冷たさと。爬虫類みたいね、私はきゃっきゃっとはしゃぎつつそれをつつっと舐めてみる、涼しいそして何かがこみ上げてくる。その爬虫類製の金属にまどろみながら。ふとそうして酩酊へとずるりと沈んでいく中で感ぜられるのは私は赤と黒が好きなこと、孤独は寂しいが、一人になりたいという欲求は捨てきれない矛盾を抱えていること、その酩酊状態でセックスをしている最中にクラゲに喋りかけてみたこと、そしてやはりクラゲも赤と黒が好きで孤独は寂しいけれども一人になりたいという矛盾に喘いでいたこと、そんな他愛もないどうでもいいことが頭の中を駆け巡っていくのだ。酩酊酩酊メーデーメーデーメーデーメーデー!
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