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「あなたに、三体の守護竜を目覚めさせて欲しいのです。」
「守護竜を目覚めさせる?」
「えぇ。ギガンテスが目覚め、世界の均衡が崩れ始めています。七つの精霊だけでは、世界の均衡を保てなくなってしまいました。このままでは、遅かれ早かれ、世界は崩壊します。」
「だからって…。何で俺なんだ?」
カッティは両手を広げた。
「あなたから、邪念が感じられないからです。」
「まぁ…。そりゃ悪いことなんか考えたこと無いもんなぁ。」
カッティは言った。
「だけど、具体的にどうしたらいいんだよ?」
「この剣を受け取って下さい。」
大樹の精がそう言うと、カッティの前に一本の剣を現われた。カッティはそれを受け取った。
「これを守護竜の前に突き立てれば、守護竜は目覚めるはずです。そしてその剣には、目覚めた守護竜の力が宿ります。もしあなたに邪念があれば、力に飲まれ、魔物になってしまうでしょう。」
「怖っ!」
カッティは叫んだ。
「でもそれなら、シュウやシルフの方が良いんじゃないか?」
「彼らには、他にやってもらうことがあります。」
「あ、なる程。じゃあ俺は縁の下の力持ちってわけか。」
カッティは首を竦めた。
「そんな事はありません!あなたにも重要な事を頼んでいるのですよ!」
大樹の精は強い口調で言った。
「分かった悪かった!だけど、その守護竜ってのはどこにいるんだよ?」
カッティは尋ねた。
「それは、その剣が示してくれるはずです。」
「イマイチ信用ならないが、まぁいいや。そうだ、最後にあんたの名前を聞かせてくれよ?」
「私の…名前ですか。私に名前などありません。私は大樹の精ですから。」
「大樹の精じゃ呼びにくいだろ?ん~と、じゃああんたはセレンだ!セレン=ワグナー。はい決定。」
カッティは手を叩いてそう言った。
「セレン=ワグナー…。良い名前ですね。ありがとう。」
「気にすんな。名前がないと何かと不便だろ。それじゃあまたな。」
そう言ってカッティは軽く左手を挙げ、その場を去った。
「カッティ…。あなたなら私を呪縛から解き放ってくれると信じていますよ。」
セレンはそう呟き、姿を消した。
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