6人が本棚に入れています
本棚に追加
シュウとシルフは、フリードの遺言通り、大樹に来ていた。そこで見た景色に、二人は驚いていた。
「みんなの墓がある!」
シュウは一面に広がる墓石を見て言った。
「一体誰がこんな事をしてくれたんだろう?」
シルフの言葉に反応するように、言葉が聞こえてきた。
「これは、カッティが一人で行ってくれたのです。」
そして、セレンは二人の前に姿を現した。
「あなたは?」
シルフは問うた。
「私はセレン=ワグナー。七つの精霊を統べる大樹の精です。」
「カッティは生きてたのか。」
シュウは安心したのか、ホッと胸をなで下ろしていた。
「だけど一人でこれだけの事をするなんて…。カッティらしいわね。」
シルフは微笑んでいた。
「あなた達は、ギガンテスを知っていますか?」
「ギガンテス?あぁ、俺達の村を焼き、フリードおじさんを殺した奴だろ?嫌でも知ってるよ。」
シュウは眉間に皺を寄せた。
「すみません。嫌な事を思い出させてしまいました。しかし…。あなた方にギガンテスを止めて欲しいのです。」
「俺達に?」
シュウは問うた。
「はい。あなた方は、その昔ギガンテスと戦った二人の血を受け継いでいる。だからあなた方ならきっと…。」
「確かに私はシェイドの、シュウはアークの血を引いている…。だけど、私達そんな特別な力は持っている訳じゃないわ?」
「今は普通の人と変わらないかもしれない。だけど、あなた方から無限の可能性を感じるの。…二人の魂は、今もこの大樹の奥で眠っています。大樹の中でその魂に触れて下さい。あなた方なら、きっとギガンテスを止める事が出来ます。どうかお願いします。」
セレンは不安げな顔をした。
「良いじゃねぇか。元々ギガンテスと戦うつもりだったんだ。特別な力があろうが無かろうが、俺はギガンテスを許せない。」
シュウはセレンを見上げた。
「確かに…。私達はその為にここに来たんだったわね。」
シルフもセレンを見上げた。
「さあ、俺達はギガンテスと戦う。だから、大樹の奥へつながる道を開いてくれ。伝説の英雄の魂とやらに会わせてくれよ。」
シュウは両手を広げた。
「分かりました。ありがとう…。」
セレンはそう言って姿を消し、代わりに大樹の奥へつながる入り口が開いた。
最初のコメントを投稿しよう!