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足音は、二人のいる牢屋の前で止まった。足音に招待は、ドレスを着飾った少女だった。
「ここから逃げてください。」
ドレスを着飾った少女は二人にそう言うと、おもむろに牢の扉を開けた。
「あなたは一体?」
シュウは問うた。
「私はこの国の王女、アニー=アラルガルドです。」
「王女様!?」
二人は驚いていた。
「王女様がこんな事をして大丈夫なんですか?」
シルフは問うた。
「心配なさらないで下さい。それより、あなた方にお願いがあるのです。」
「俺達に?」
シュウは首を傾げた。
「はい…。最近父の様子がおかしいのです。この城の地下に眠る、水の精霊の力を奪われないようにと言い、父は今まで何人もの罪のない人々を処刑しているのです。あんな父は今まで見たことがありません。どうか父を止めていただけませんか?」
アニーは泣きそうな顔をしていた。
「ここから出してもらったのに、イヤだなんて言えねえよ。なぁ?」
シュウはシルフの方を向いた。
「うん!」
シルフは頷いた。
「ありがとうございます!」
アニーは深くお辞儀をした。
「それでは、水の精霊の所へ行っていただけますか?」
「水の精霊の所へ?」
シュウは問うた。
「はい。水の精霊の所へいけば、いずれ黒幕がやってくるはずです。」
「黒幕がいるのか?」
「はい。父はこんな事をするような人じゃありません。絶対に裏で誰かが操っています。」
「そうか。まぁそう信じたいよな。」
シュウはぼそっと言った。
「それで、水の精霊は一体何処にいるのですか?」
シルフは問うた。
「水の精霊は、この牢獄のさらに地下にいるはずです。」
「分かりました。それでは行ってきます。」
「待って下さい!」
アニーは二人を止めた。
「なんだ?」
シュウは肩を竦めた。
「途中、恐らく城の兵士がいると思うのですが、できれば殺さないでいただきたいのです。」
「そんな事か。任せてくれ。俺達は誰よりも命の大切さを知ってるからな。」
そう言うシュウの表情は、少し悲しげだった。
「そうですか。すみません、何かイヤな経験をされていたようで…。それではよろしくお願いします。」
アニーはもう一度深くお辞儀をした。
二人は水の精霊のいる場所を目指して進んでいった。
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